近年、製薬業界は、事業のさまざまな変化により、業務効率の向上という課題に直面しています。
環境。特に、膨大な事務処理の負担を軽減することが強く求められています。
武田薬品工業株式会社(以下、武田薬品工業株式会社)は、高度なAIやDX関連の取り組みを多数推進しており、その一環として、綿密なデータ検証を必要とする品質管理業務における文書検証作業を軽減するAIソリューションをFindability Sciencesと共同開発しました。
プロジェクトを率いた武田薬品工業株式会社の辛島氏に、プロジェクトの詳細と今後のビジョンについてお話を伺いました。
医薬品の
AIを使ったものづくり。
武田薬品工業株式会社製薬
イノベーション担当サイエンス・サステナビリティ&テクノロジー責任者
2003年、東京大学大学院工学系研究科修士課程を修了しました。同年、武田薬品工業株式会社に入社し、CMC事業部の開発分析研究所で医薬品分析研究、物性、製剤前研究に従事しました。その間、2017年に明治薬科大学で薬学の博士号を取得しました。2020年からCMC部門でデジタルトランスフォーメーションの推進を担当し、現在は現職に就いています。
インタビュー対象者田中さやか:株式会社ファインダビリティ・サイエンスでライフサイエンス事業担当東京大学大学院薬学系研究科修士課程、医学系研究科博士課程を修了しました。国立大学で助教授として働いた後、外国の製薬会社で腫瘍学の分野で医療事務の仕事に従事していました。2020年からソフトバンク株式会社でヘルスケア分野の事業開発に携わり、2023年5月から出向している現職では、ライフサイエンス事業における事業推進と事業開発を担当することになります。
目次
田中:
このプロジェクトでは、CMCが医薬品を担当しています※1QCはQCの重要なタスクの1つです※2目標は、文書検証作業を自動化することでした
これはチェック中に発生します。QCチェック業務の一般的な流れを教えてください。
*1: 化学、製造、制御の略語。医薬品の品質管理に関わるすべての業務の総称。
*2: 品質管理の略語。
辛島さん:
私たちCMC部門は、臨床試験を行っています。※3開発中の医薬品の製造と品質チェックを担当しています。
医薬品の品質チェックでは、まず品質を確認するための試験項目と各項目の基準値(基準)を設定し、次にまとめます。
それらを標準文書として。次に、品質確認試験を社内または委託先でそれぞれ定められた方法に従って実施します。
テスト項目、および最終的に得られた各項目のテスト結果を集計してCoA※4が作成されました。それを保証するのはQCチェック作業です
このCoAの内容は確かに正しいです。
*3: 健康な成人と患者に対する薬剤候補の有効性と安全性、および治療方法を確認するために実施された研究
(適切な投与量および投与方法)。
*4: 分析証明書の略称。製造された医薬品の品質が以下に適合していることを確認するための試験報告書
スタンダード。
辛島さん:
具体的には、CoAを作成する手順は、最初に標準からテスト項目と標準を転記することです。その後、結果が転記されます。
テストプロバイダーから入手した各項目のテストレポートから。つまり、CoAは2つの情報を転記して作成されるからです。
文書では、QCチェックでは、テスト結果が規格に準拠していることを確認するだけでなく、CoAに投稿された内容にも一貫性があることを確認する必要があります
標準とテスト結果と一緒に。
当時の武田薬品工業では、まずCoAを作成した人がQCチェック手順を視覚的に行い、その後
担当者以外の従業員によるダブルチェックを行い、最終的に品質保証責任者によるチェックを行います。このプロセスでは、次の項目からチェックします。
CoAの内容に間違いがないという第三者の視点、紙ベースで確認し、実際に間違いがあったことの証拠を残す
確認されました。開発した製品が臨床試験を行う医療機関に届けられると、この文書が製品に添付されます。
品質を確保するためですが、現在の状況では多くの作業が労働集約的です。
田中:
具体的にはどれくらいの時間がかかりますか?
新島博士:
薬は実際には患者によって服用されます。製薬会社には自社製品の品質を保証するという非常に重要な責任がありますが、そうではありません。
どんな状況でも。すべての外部資料は正確でなければならないというスタンスは、製薬業界全体では常識であり、それぞれ
企業は他の業界よりも厳しい基準で審査されています。その結果、現在の業務負荷は高く、全社でDXが進められています。
製薬業界、部署に関係なく。
特にCMCの分野では、品質を確保することが最重要の使命であることから、次のような文書では間違いは許されません。
品質を保証します。常に 100% の精度を目指すには、作業の準備に一定以上の時間がかかります。というのも、それなりに時間がかかるからです。
文書が完成した後、内容の妥当性を人間の目で注意深く確認し、統合した後、複数回のチェックを行い、
すべてを転記し、文書が完成した後でも何度もチェックする必要があります。
現在、品質試験結果を受け取ってからCoAを作成して署名するまでに数日かかり、作業全体としては
時間は CoA あたり 10 時間未満です。これはすべての医薬品に必要です。その結果、現場への負担が非常に高く、社内調査でも伝わってきました。
「文書処理の時間を短縮し、効率を向上させるための自動化が大きなニーズです。」そこで、私たちは CoA から始めることにしました。CoA は
比較的シンプルな構造です。
先日、この内容を学会で発表したところ、反響が非常に大きく、賛成してくれる人が多かったです。課題として
製薬業界全体としては、品質文書の自動作成や自動チェックが強く求められているように感じます。
フィールドから。辛島博士がファインダビリティ・サイエンスと共同で開発したAIソリューションに関する学術会議で発表します。
田中:
現在、本格導入に向けて準備を進めているとのことですが、具体的にどのような手続きをしているのか教えていただけますか?
今回開発したQCチェックシステムに使用します。
辛島さん:
現在の想定では、ワークフローの最初にこのシステムを使用することを考えています。具体的には、文書化するフローを想定しています。
CoA作成担当者が編集したものをAIシステムに送って確認し、結果を確実に転記してダブルチェックします
規格に準拠していることを確認してから二次検査に送ります。
一方、品質試験業務は外注されることが多く、CoAは委託先の会社が用意する場合もあります。本人が保証するCoAです。
品質保証担当は外注先で納品するが、委託先が作成したCoAも品質で確認する必要がある
武田薬品工業株式会社の保証スタッフ。このフローでも同様に、初回のチェックでAIシステムの活用を検討しています。
担当者。
また、QCチェックは何度も行われますが、最終的な品質保証は製薬業界の基準として次のように規定されています。
「人間の目を持った人が署名した」ので、これはAIシステムが導入された後も引き続き行われます。
田中:
医薬品開発に必要な業務の性質上、求められる精度基準は非常に高いですが、このシステムはそれを満たすことができますか?
ニーズ?
辛島さん:
このAIシステムでは、開発中に分析対象の文書テンプレートを機械学習にかける工程がありますが、
学習済み文書テンプレートを使用した文書チェックは、ほぼ 100% 正確です。
一方、生産ロットによっては、たとえば実験によっては、文書テンプレートに変更がある場合があります。
得られた結果は、(分析結果の)もう1行あるかもしれません。
このような不規則な文書でも十分な精度が出せるようにシステムを整えるためには、機械があることが重要だと思います
将来発生する可能性のある文書のバリエーションをある程度予測した上で学習します。それができれば、精度は上がると考えています。
できるだけ 100% に近づけてください。
田中:
AIシステムを実際に使用した人の反応があれば教えてください。
辛島さん:
コンセプト自体が非常にユニークだという印象に加え、既にサービスを利用したことがある方からの反響も非常に良く、
特にこのような取り組みが実現したことに感謝しています。
田中:
これまで述べてきたことから、QCチェックにおける文書検証作業の自動化の必要性が高いことがはっきりとわかります。では、何が重要なのでしょうか。
これらの問題に取り組むためのシステム開発パートナーの要件は?
辛島さん:
私たちはAIシステム開発のパートナーとして、ニーズに柔軟に対応できる柔軟性が重要だと考えています。例えば、
システムの規模や利用ニーズに応じた規模で開発できるシステムを柔軟に提案することで、少額の投資で実現可能性の確認を進めることができ、POC(概念実証)の取得にかかる時間を短縮できるというメリットがあります。
また、実際にシステムを開発する過程で、私たち側の要求が変わることもありますが、とても働きやすいと感じています。
柔軟かつ迅速に対応できればパートナーです。
次に、当社の技術力についてお話ししたいと思います。パートナーを選ぶ際には、技術力を評価することが重要です。
このような文書自動化の課題については、パートナーが独自の機械学習モデルの開発チームを用意しています。
自然言語処理、OCR ※5といった技術的な要素については、たくさんの経験とノウハウを持つことが重要だと思います。もっと
重要なのは、グローバルに拡大できることです。武田薬品工業は現在、製品を拡大しているグローバル企業なので
世界では、このようなシステムをグローバルベースで実施することを心に留めておく必要があります。システム導入後のフェーズでは
開発、現場に出向いて現場研修や保守サポートに対応する必要があり、対応できるパートナーだと感じています
これはとても魅力的です。
最後に、信頼性についてお話ししたいと思います。大規模なシステムを導入して全社展開する場合にサプライヤーを選定する場合、
サプライヤー企業の信頼性は、内部説明の根拠の1つとして非常に重要です。しかし、大手企業の場合、
大きなプロジェクトになりがちですし、一方でスタートアップ企業の場合、事業の持続可能性に懸念があり、
柔軟性はありますが。両者のバランスは非常に厄介な点ですが、近年、お持ちのパートナーの数は
両方の利点が増えており、とても安心しています。
*5: 光学式文字認識 (またはリーダー) の略語。
画像データとして記録された文字をテキストとしてデジタルデータに変換する処理技術。
田中:
本プロジェクトの対象は日本におけるCoAのQCチェックですが、他の事業にも適用する計画があれば教えてください。
辛島:
現在、日本で実施していますが、もちろん将来的には米国でも拡大したいと考えています。また、多数あります。
CoA 以外の文書で、構造化が比較的容易で、安定性テストにも同様のプラットフォームを使用できると考えています。たとえば、
一定の条件下で保管された製品の品質を定期的に確認し、長期的な品質を確保すること。そこで、AI活用の次のステップとして、
安定性試験の事務処理の自動化を拡大したいと考えています。
田中:
社内で広く事業を拡大していく中で、効率化に向けて具体的に期待していることはありますか?
辛島さん:
開発項目でいうと、武田薬品工業は年間約100件のCOAを発行していますが、運用頻度自体は
高くない一方、製造・販売用に開発・承認された市販後の商品を扱う工場は多い
規制当局による処理は当社の10倍以上です。つまり、品質テストとそれに伴うQCチェックの頻度が高いということです。
生産量に比例して書類の検証が行われます。
そこで、工場部門に同様のシステムを導入して、より多くの製品を製造し、状況を増やすと、
会社全体で使用されているため、大幅な時間の節約と効率化を実現できます。市販後の製品は実際に使用されています
患者、そしてその中には医薬品の力に頼って一日中生活を送っている人もいます。このような製品は確実に保管しなければなりません。
供給。そのためには、品質も確保しなければならないので、最終的に一番大切なのは、自分たちよりもはるかに多くの品目を扱うことだと考えています。
責任の高い工場で開発および開発してください。
田中:
近年、製薬業界全体にとって供給の安定が課題になっていると思います。今回利用した文書処理の自動化に加えて、医薬品製造におけるAIの活用によって供給の安定性が向上すると思いますか?
新島氏:
これは大きな期待が持てる分野だと思います。武田薬品工業株式会社はまた、工場部門にデータサイエンスおよびデジタル実装部門を新設し、製造中の製品の各プロセスのさまざまなパラメータを監視して、品質試験を実施する前に製造プロセス全体を通じて最終製品の最終品質を予測するプラットフォームを導入しています。
具体的には、プローブと呼ばれる分析装置を製造装置に配置して分析結果を常に監視することに加えて、異常を検出して実際の最終品質を予測しようとしています。現在、品質試験品はすべて出荷前に実際にテストする必要がありますが、その過程での分析結果をもとに最終製品の品質を保証する「リアルタイムリリース」の導入を目指しています。
田中:
ここまで、医薬品の品質管理におけるAI導入への期待について、さまざまな観点からお話いただきました。
製薬会社ですが、政府や規制当局も医薬品開発におけるAIの使用を期待していることを認識しています
と製造。一方で、品質や安全の最終保証という観点からは慎重な考え方も当然あると思います。
AIを活用した自動化がプロセスをスキップすることを許可する規制はどの程度あると思いますか?
辛島さん:
これまで、規制当局は学会などを通じてAIの利用を否定しないとコメントしていましたが、5月に
今年、FDAは、医薬品開発、特にCMCの分野でのAIの使用を否定しないと発表し、留意すべき点があります。※6
その考え方を正式にまとめたディスカッションペーパーが発行されました。
*6: 食品医薬品局の略称。米国医薬品規制当局。
辛島さん:
このレポートでは、FDAは、現代の医薬品製造においてAIの使用は避けられないことであり、開発会社は
将来、AIが医薬品開発に使用される際には、十分な説明責任を果たすことが明らかに必要です。
医薬品開発者である私たちは、責任を持ってAIの特徴を理解し、AIがどのような業務にできるかを徹底的に議論する必要があります
導入したシステムが確実に機能していることを適用し、実際に運用を開始したときに証明します。
日本の規制当局であるPMDA※7今後、議論が加速することが予想されます。今後は会社の枠を超えていきたいと思っています。
そして、製薬業界全体を巻き込んで、このような文書自動化を含め、あらゆる方法でAIの使用を広めています。
*7 PMDA: 医薬品医療機器総合機構の略称です。医薬品医療機器総合機構。
田中:
どうもありがとうございます。製薬業界、そして医薬品全体でAIの活用が促進される世の中を心から楽しみにしています。
できるだけ多くの患者に効率的に届けられます。